五月病?大丈夫ですか。

 「ああ疲れた・・」ついつい口癖になっている方もいらっしゃることでしょう。

 疲れを取るためにはお風呂に限る、一日の労働を終えて、ゆっくり延寿湯温泉の湯につかり、ビールを飲んで食事して、適度に酔って、ぐっすり眠る。

 五月病の方にお奨めする疲労回復の一つの処方です。五月病というのは、新入社員とか、新入生に5月ごろ、しばしば現れる疲れ心身のお疲れ症状のことをいいます。

 疲れとは一体何か、疲れを取るにはどういう方法があるか、判りきったことばかりですが、いまさらとは言わないで、最近の学説を中心に振替ってみましょう。本文では 疲れ=疲労 で両者は同一の用語として区別なく、適当に使います。

1.疲れとはなにか

 疲労には、爽やかな疲労とぐったり疲労とがあります。身体を動かしスポーツしたあとの疲労は爽やか疲労です。仕事をしたあとにも、常にとは言わないまでも爽やか疲労はあります。その一方、引越しや、大掃除、そして拘束のある労働による疲労はぐったりの部類にはいるでしょう。休み休み身体を動かす適度の疲労と、長時間詰めて働く過度の疲労の違いです。

 労働科学研究所の小木和孝所長は「疲労」を次のように定義しております。

 「そのまま続けばやがてへばり、休めば回復すると予測できるかたちでおこり、仕事振りにもそれとわかる変化を伴って休息を求めている状況」

イギリスの心理学者パートレットは「普通の活動条件下において、その継続時にまで追求できるかたちで起こる。その活動性自身の衰弱を意味する変化」と述べております。

 専門家の定義はやや難しいのですが、かといって広辞苑では「疲労=疲れ」とあるのみです。疲れというのは、心身の休みたがっている状態・状況であって、休めば回復するというのが前提のようです。

 休んでも取れない疲れ、とか、身体を余り動かしてもいないのに感じる疲れ、となると、これは病気かもしれない、と思ったほうがいいでしょう。

2.疲れの種類

 疲れというのは厳密には「疲労感」であり、疲れというのは「感じ」ですので主観的です。ですから、疲労している状態、感じを体温や血圧のように数字で表す事は出来ません。

 「だるい」、「もう足は一歩も動きません」とか「眠くて眠くて」とか、「肩が詰まった」など、こういう状態を理解することはできますが、言っている人の状態、疲労の程度は人さまざまです。しかし、他人が「疲れたなあ」といえば、周りの人はうなずき、通常はそれに共感できます。主観的とはいえ、それが表現で他人に伝わるのは、共通の体験が理解できるので、「疲れた感じ」が相手に伝わるからです。

 冒頭に「爽やか疲労」と「ぐったり疲労」をあげましたが疲れた状態には共通の性質があります。すなわち、①そのまま続ければやがて倒れる②休みたくなる③休息すると回復するであり、「疲労とは休息の要求である」にかかわります。

 疲労の種類には、その起こり方から、慢性、日周性、亜急性、急性に分ける場合があります。疲労を感じる場所によって 筋肉疲労(さらに、肩、頚、腕、足、腰ほかに分けることがある)、精神的疲労(中枢神経系)、全体疲労などにわけることもあります。

3.疲労感の構造

 疲れを感じた時には、3つの要素があり、これを①活力低下②気力の低下③身体の違和感に分けます。これは疲労感の構造といって、よく用いられるので、もう少し詳しく触れましょう。

①活力低下時の症状: 頭がぼんやりする、全身がだるい、眠い・あくびが出る、目が疲れる、動作がぎこちない

②気力の低下時の症状: 考えがまとまらない、根気がなくなる、間違いが多くなる、きちんとしていられない、いらいらする

③身体の違和感時の症状: 頭が痛い、肩凝り、腰痛、口渇き、目まい、まぶたや筋肉がぴくぴくする

 これらの要素の有無によって、疲労の自覚症状を調べる場合があります。

4.疲れのメカニズムは不明

 なぜ疲れが起きるのか、そのメカニズムは不明です。

 しかし、一部の疾患が原因になっている場合はそれぞれ原因は説明されております。

 たとえば、病的に起きるだるいの代表は貧血が原因の場合ですが、これは赤血球の不足により、筋肉への酸素の供給が不十分だからと説明されております。また、筋肉痛は代謝産物である乳酸の筋肉内での蓄積による、といわれております。

 最近特に問題になっているのは慢性化する疲労です。疲労は早めに休みなさいという警告です。爽やか疲労というのは、早め早めに休みが取れているからです。雑談したり、手を休めたり、あるいはお茶を飲んだり、これが早めの休みになっております。

 ところが、ぐったり疲労では、1日ですっかり取れないことがあります。さらに環境によっては、筋肉痛が残ったり、睡眠不足が溜まってゆくなど、疲労回復の遅れが蓄積してゆき、過労につながることがあります。

 急にへばってしまうという急性疲労は、通常は回復が順調であるので、疲労慢性化とは別です。

 慢性化した筋肉の凝り・痛みが起こるのは筋肉を使うときだけでなく、圧痛を伴います。

 圧痛は、筋繊維の中に微細な断裂ができたためであり、凝りは筋肉に十分の血液が行かない阻血状態で収縮を行った結果たまった中間代謝産物の筋肉への作用のためと言われております。

 倦怠感にはだるい、足が重いなどの症状がありますが、疲れが高じるとこの倦怠感を感じる場合もあるようですが、注意を要するのは内臓疾患、特に肝臓疾患、心疾患、あるいは貧血などが原因になっている場合です。これらは睡眠・休養では回復しません。通常はこれらは病気ですので治療を必要とします。

 もう一つ、慢性疲労症候群という病気があります。文字通り、疲労が重なったかのごとくですが、これは20~40歳の成人がかかる病気です。消耗性の疲労や集中力がなくなるという症状があり、微熱やリンパ節の腫れを伴う場合もあります。感染症ではないかという説もありますが原因不明です、とにかくこれは疲労ではなく、病気ですのでので、軽く見過ごすわけには行きません。

5.ぐったり疲れにならないために

 冒頭にも書いたように、疲れは早めに早めに取ってゆくことです。ぐったり疲れにならないようにするには休息を適度に取ることが最良の策です。しかし、この適度の休息をとることが現代を生きる人には簡単にはできないために、いろいろの問題が起きてきます。  

 働く人たちはそれぞれ自己の健康法というものを持っており、生活のリズムにより、ぐったり疲れをできるだけ避ける努力をしております。

 疲れやすい条件・環境に対抗する策として、労働科学研究所の小木和孝所長は次の項目をあげています。

  1. 仕事のきつさや負荷の度合いを緩和する
  2. 作業手順の簡易化・機械化
  3. 共同作業化
  4. 仕事場面の早期転換
  5. 休息の適切な挿入
  6. 生活リズムの尊重

 疲れは病気ではありませんので、ぐったり疲労を避けるには暮らし方、気持ちの持ち方を変えることに重点が置かれているようです。

 入浴剤 延寿湯温泉をいれて入浴するのも疲れ早めに取り除くにはいい方法の一つです。 香り成分の精神安定作用は心の疲れに、血流をよくする生薬成分は筋肉の疲労に効果的です。五月病の方にもお奨めします。

<参考文献>

小木和孝:現代人と疲労 増補版、紀伊国屋(1994) メルクマニュアル医学情報「家庭版」、日経BP社(1999)

 腰痛は急性の場合、ぎっくり腰で通常は腰の捻挫であり、中には椎間板ヘルニア腰の骨の圧迫骨折などが原因となります。慢性腰痛の場合は、突然来るものでもないので原因はわかりにくく、椎間板変性症とか、筋膜性腰痛症、変形性腰痛症などの病名がつきます。腰痛が慢性に持続化してくると、腰部の血液循環を良くすることが必要になります。医療情報センター 橋本のぶや

4/10

つかれ、だるい、ひろう 休んでもとれない。⇒病気
動いてもいないのに疲れる。⇒病気緊張――精神的疲労⇔肉体的疲労
 正確には疲労感 大したこともしないのに疲れる。
自覚症状――客観的測定は不可
 熱、血圧とは違う。本人しかわからない、
疲労のメカは不明。 筋肉痛―乳酸説、 全身となるといろいろ重なる原因
全身がだるいは病気であるとみていい。
休んでも取れないは病気

だるさを感じる病気
貧血 だるさの代表
低血圧 病気ではない 身体中に十分の血液が回らない
肺結核 呼吸器系統の疾患にはときにある
慢性血液疾患
肝臓病
太った中年以降の糖尿病
慢性腎臓病  肝臓病と同じで,体内にたまった不要物の排泄がうまくゆかない
内分泌疾患  特に甲状腺疾患
栄養不良 脱水症状をおこしている消耗したとき
一部の悪性腫瘍

あらゆる疾患はだるい

身体の病気だけでだるさの出ないこともある。精神的疾患でも出る
 だるいが続く 大変重要なことで以外に重い
 何故かわからない
 5人に1人はだるいで病院に来る。その6-7割は女性
だるい患者は⇒検査受ける
貧血・糖尿病・肝臓 それえもわからないと ⇒精神的疾患
疲れる程の仕事をしていないのに疲れる・・一晩寝ても疲れは取れない⇒これが6ヶ月も続く ⇒慢性疲労症候群 

4/12身体表現性症候群  身体表現性障害

4/13慢性疲労症候群

両者の区別は難しい。
原因不明の激しい疲労感が6ヶ月以上続くが決め手。
のどが痛い、かぜのような症候、かぜウイルスのような症状、関節痛、憂鬱、思考力欠如、睡眠障害など・・・・
原因は不明: 最初アメリカで新しいウイルスか、という説が出たが今は否定。免疫力低下説もある。免疫の低下だけでは症状は出ない。副腎皮質ホルモン分泌低下説もある。
結局、今は原因不明で落ち着いている。
診断基準:日米で13項目挙げて学会で検討中。
身体表現性障害と似ており、区別し難い。
筋肉リウマチ、センイ・・・
治療法はない
症状を治める薬を投薬するのみ、対症療法・精神療法、カウンセリングなど。
死ぬ病気ではないし、どんどん悪化するものでもない。

4/13

原因不明の慢性疲労 身体の異常なし⇒精神的治療/診断
けだるい・やるきなし・だるい ⇒精神的疲労 ⇒鬱状態
うつ病に似ている。
精神面に原因。
思考力落ちる。集中力なし。睡眠障害あり。
うつ病に似ている。身体表現障害でもだるい,疲れやすいがある。最近注目されている。
何か心にストレスがあると、心が身体に表現する。眠い、だるい、腹が痛い。関節が痛い。
胸がつかえる。いろんな症状が出てくるが、調べても原因異常はない。ストレス社会では重視。
だるい、けだるい心の葛藤。
心身相関。ストレス⇒ゆとり持った暮らし。
けだるい、疲れる⇒ストレス 心から来る。
ストレスが長い間に蓄積。何年にもわたってたまる。

4/14 原因を見極める  治療の道

精神疾患⇒心を治す
慢性・原因不明をどのようになおすか。⇒身体の症状⇒対症療法
精神はかうんせりんぐ
ゆとり・あせるな・ゆっくり
ストレス周りの理解
悪い病気ではない⇒なおる
ダルイ 原因
原因不明 4割ダルイ という
2割は6ヶ月続いている
疲労の医学⇒日本疲労学会  慢性疲労症候群 
スポーツ疲労・産業衛生  筋肉疲労

米山公啓:健康という病、集英社(2000)

湯につかる

 古い古いお話です。温泉は今から1300年前に編纂された風土記に出てきます。わが国が温泉国であり、古い古い昔から、人々が入浴を愛していたことが分かります。今回は1300年前の世界に皆さんをご招待しましょう。

 1300年前というと、「日本」という国が生まれたばかりです。法隆寺も東大寺もまだできる前で、山上憶良がこの頃の暮らしを万葉集に歌っています。 「綿も入っていない布の海草のようにぼろぼろに裂けてしまったぼろばかりをば、肩にひきかけてきて、掘立小屋の蒲鉾小屋の中に、地べたにじかにわらをしいてお父さんや、お母さんは、自分の枕のほうに寝させて女房子供などは足元に寝かして・・・ご飯を炊くこしきにはクモが巣をかけているような塩梅で」と、これが当時のお役人さんの暮らしぶりです。

1.玉造の温泉

 出雲というと島根ですが、玉造川のほとりに出ている温泉の様子を風土記は紹介、厳密に言うと中央政府への報告ですが、細かく描写しております。温泉の出ている場所は海辺ですが、山あり海ありの景色のいいところです。

 温泉には男も女も年寄も若者も集まってきています。村の街道や小路をぞろぞろ歩いて引きもきらず、温泉に出かけてきます。温泉の近くでは、市場が出来たように、人が溢れています。そして、集まって酒盛りして騒いでいます。

 温泉はリクレーションセンターだったのです。

 飲んだり食ったり楽しんで、そして温泉につかります。飲んで温泉につかるのは健康には良くないのですが、当時の酒のアルコール濃度はさほど心配しまくてもいいでしょう。温泉につかると、姿も顔もきりりと引き締まって、容貌は立派になります。

 温泉に何度もつかると、万病は消えうせて、素晴らしい効能が現れます。

 このような風土記の報告を読んでいると、庶民の温泉の入浴を楽しむ姿が目に浮かんできます。山上憶良の歌は赴任地の九州ですが、所変わればこんなに変わるものかと驚きます。

2.漆仁の川の温泉

 出雲風土記にはもう1箇所温泉が出てきます。漆仁(しつに)の川の温泉と書いています。ここの温泉の報告は次の通りです。

 「漆仁(しつに)の川の付近に薬湯がある。この湯に一度つかると、たちまち身体はやわらぎ、おだやかになり、二度 入浴すればたちまち万病は消え去ってしまう。男も女も、老いも若きも夜昼休まずぞくぞく集まってくる。温泉の効用を皆が知っている。だから、土地の人たちはこの温泉を薬湯とよんでいる」

3.当時の医療

 薬湯の歴史がわが国では意外と古いことがわかりました。当時の医療は、まだ一般には医療というよりも、民間医療の段階であって、疾患の治療にはたしかに温泉は庶民の誰もが利用できるありがたい存在だったのでしょう。大陸から仏教とともに伝来した中国の医学は、中央の奈良の都において上層部にようやく広まり始めました。

 地方であった出雲は、奈良の中央政府に薬用植物(生薬)を税金として提供しております。同じ出雲風土記には出雲で産出する生薬をあげております。

そのいくつかをあげてみます。

 麦門冬(ばくもんどう)、独活(どくかつ)、せっこく、黄精(おうせい)、

 白朮(びゃくじゅつ)、苦参(くじん)、細辛(さいしん)、五味子(ごみし)葛根(かっこん)

 これらの薬用植物は今日でも日本薬局方、公定書に収載されて、医療現場で使われております。

 これらが、有用植物として認識されていたということは、医学の伝来を物語るものです。これらが、どのように医療の現場で使われていたかは、詳しく分かりません。

4.大同類聚方の医療

 大同類聚方(だいどうるいじゅうほう)というのは808年、風土記の100年あとに編纂されたわが国の古代の医療、薬物をまとめたわが国最古の医学書です。この本は原本がなくなってしまい写本で伝わっているため、今日伝わっている本は偽書、後世に作られた偽物であるという説があります。内容の全てが偽ではないというのが、最近の学説です。

 この書を唐突に持ち出したのは、先にあげた出雲の薬用植物が、いずれもこの書とりあげられていますので、必ずしも中国伝来の医学のせいではなく、8世紀当時のわが国の伝統的な民間医療につながっているのではないかという意味からです。

 このような医療事情の中で、温泉が薬湯として民間医療に広く利用されていたということは、注目すべきことで、とりわけ入浴剤の歴史には、重きを置きたい事実です。

 これまで、シリーズで入浴・風呂の歴史を取り上げてきましたが、温泉の歴史も、入浴剤の歴史には欠かせない存在です。

<参考文献>

吉野裕:風土記、平凡社(2000)
槙佐知子:大同類聚方、平凡社(1985)
岩波日本史辞典、岩波書店(1999)
折口信夫訳:万葉集、河出書房新社(1988)