匂い・アロマセラピーと入浴剤延寿湯温泉
アロマセラピーという言葉そのものは1928年フランスの化学者ルネ・モーリス・ガットホッセが使ったのが最初といわれており、医師ジャン・バルネが1964年に「植物=芳香療法」を出版して広まったといいます。アロマセラピーという言葉は新しいのですが、香料を使って治療に役立たせるというのは古代エジプト、あるいは古代中国にはじまり、紀元前500年にヒポクラテスによって植物香料による治療法が確立しました。
入浴剤延寿湯温泉には龍脳、樟脳、丁子など芳香性の生薬が配合されています。
風呂に入浴剤延寿湯温泉を入れて、ややぬるめの湯でのんびりつかればストレスが消えて心が休まるといいます。
1.香りが心を癒すとはどういうことか
香りとはにおい物質の「におい分子」が空気とともに鼻腔に入り、奥にある嗅覚受容部に到達して嗅細胞を刺激し、信号を脳の一部である嗅球に入り、次に前頭葉新皮質に送り込まれ、ここでにおいの情報処理が行われます。
においの情報処理というのは、その香りが水仙の香り、バラの香り、くちなしの香り、・・・など快い香りであるとか、逆に不快なにおい、いわゆる悪臭であるという判断をすることをいいます。大脳の嗅覚を処理する部位の近くには、食欲、性欲、怒りなどの動物的な本能行動を左右する大脳辺縁系にあり、においの情報処理によって、大脳は次の行動を指示します。
におい分子は極めてわずかな量で、嗅覚を刺激します。個人差、あるいはその時の健康状態によっても感度は全然異なるといわれております。たとえば、人工麝香(じゃこう)の場合、においを感ずる最低の濃度は空気1㎥中、0.0005mgであり、1mgあれば学校の体育館であれば、そこにいるほとんどの人はにおいを感じることになります。
においは分子レベルであるというのは、このように微量で嗅覚を刺激がすることが出来るためであり、たとえば、バラの香りというのはβ―フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネールとフェニルエチルアセテートなどの分子が混じったものです。これらの分子が蒸気となって空中に漂い、鼻に達します。
分子が蒸発しない限り匂いは発生しませんが、蒸発する成分は植物の場合、精油成分といっております。
脳に達して、におい感覚が起こったとき、これが心身にどのように働くかですが、脳の構造が複雑なため、簡単には答えは出てきません。大脳における嗅覚の働きが解明され出したのはまだ最近のことなのです。
快い香りのもたらす爽快感がストレス解消に役立つということは多くの人が経験していることであります。冒頭にも紹介したように、香りの治療への応用は長い歴史が証明しているという段階にあり、残念ながら深入りできません。
2.入浴剤に配合されている香料成分
植物系統の香料成分は気体を常時蒸発させている精油にあると先に書きました。
それでは入浴剤延寿湯温泉の精油成分を並べてみましょう。
代表的な精油成分
リュウノウジュ(龍脳)精油1% ボルネオール、カリオフィレン
クスノキ(樟脳)精油1% カンファー、オイゲノール、リモネン
カンピ 精油3% リモネン、テルピネン
ショウブコン 精油3% アサロン、オイゲノール
チョウジ(丁子)精油15~20% オイゲノール、カリオフィレン
センキュウ 精油1~2% クニデライト、センキュウノライド
ウイキョウ 精油3~8% アネトール、リモネン、ピネン
リョウキョウ 精油0.5~1% シネオール、カルジネン
<参考までに>
匂いの表現
におい(匂い):臭いかおり、臭気ともいう=悪臭・芳香にかかわらず、気体が鼻を刺激する場合で、意味は広い
臭い(くさい):いやなにおい=不快な匂いに使う
悪臭:不快なにおい
香り:よいにおい=心地よい匂いに使う
芳香:よいかおり=香りのうち、とくに自分に快感を与える場合
学会等で使われる匂いの基本10分類
①花臭
②果実臭
③汗臭
④焦臭
⑤糞臭
⑥樟脳臭
⑦麝香
⑧石炭酸
⑨酢臭
⑩ニンニク臭
<参考書>
C.ワイルドウッド:アロマセラピー百科事典、日本ボーグ社(1997)
荘司菊雄:においのはなし、技報堂出版(2001)
真島英信:生理学、文光堂(1986)