栄養価抜群な牡蠣

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強精効果バツグンの食品

ヨーロッパでは、かきを「海のミルク」といい、哺乳動物の乳に匹敵するほど、栄養価の高い食品として、昔から珍重されてきました。とくに”精力アップ”には抜群の効きめを示すため、人前で「かきが大好き」と公言するのは、ちょっと気恥ずかしいこととされているくらいです。

日本でも「海の玄米」「根のはじめ」と呼ばれ、やはり古くから体力増強・滋養強壮食品として愛食されていました。

産卵期だけメスに変身?

かきとは、イタボガキ科の二枚貝の総称です。波の静かな内湾や、内海の河口に近い干潮線付近に生息します。日本近海では、マガキ、ニセマガキ、シカメガキ、スミノエガキ、イワガキ、イタボガキ、ワニガキ、ケガキなど25種以上の生息が確認されています。

古代中国では、かきはすべて雄(牡)と考えられていました。「牡蠣(ムウリイ)」という文字が当てられたのもそのためです。しかし実際には、かきは雌雄同体で、ふだんは雄性を示し、繁殖期の5~8月になると雌性が現れて産卵するのです。

世界各国で繁殖されている

かきは、日本全土の近海に生息していますが、現在、わたしたちが食べているかきは、ほとんどすべてが養殖のかきです。主な産地は、広島湾と松島湾そのほかに有明湾、宇和島湾、伊勢湾、厚岸湾などでも生産され、いずれもマガキの養殖が主になっています。

海外では、アメリカやオーストラリア、ニュージーランド、フランス、韓国、中国など南北各地で養殖が行われています。世界の英雄に愛されてきたかきなのです。

縄文人はかきが好物だった

人類がかきを食べるようになったのは有史以前といわれています。日本では縄文時代の貝塚から、かきの貝殻がたくさん発見されています。貝塚とは、昔の”台所のゴミ捨て場”。アカガイやアサリ、シジミなどの殻も一緒に見つかっており、わたしたちの祖先が、かきについては、全国各地で貝塚でたくさん見つかっております。祖先はかきをかなり好んで食べてきた歴史がうかがわれます。

ローマ時代にすでに養殖が…

ヨーロッパでは、ローマ時代にすでに簡単な養殖が行われていました。同じく中国でも養殖が行われてきましたが、中国の養殖の歴史の方が、さらに古いといわれています。

日本の養殖は、天文年間(1532~1555年)に広島湾ではじまりました。江戸時代の大阪では、かき飯や酢ガキなどを食べさせる「かき船」と呼ばれる舟屋台が河べりに軒を並べ、大阪名物のひとつになっていたようです。その後、大正時代に新しい養殖法が考案されてから、全国的に養殖が行われるようになりました。

英雄かきを好む!

かきは歴史上の英雄たちにも好まれ、珍重されてきました。たとえばジュリアス・シーザー。彼がイギリス遠征を行なったのは、テムズ河口の「かき」を手にいれるのが最大の目的だったという説があります。ドイツ帝国の初代主相ビスマルクは、1度に144個のかきを平らげたといわれています。戦場でも3度の食事にはかきを食べ、フランス沿岸の天然ガキを食べ尽くしたといわれるのは、ナポレオン1世。その後ナポレオン3世の時代に、かきの養殖が推奨され、フランスの養ガキ業の起源になったという逸話もあります。

日本人では、戦国時代の名将・武田信玄のかき好きが知られています。そのほかにも、ギリシャの哲学者キケロや、フランス王ルイ11世、芸術家ジャン・コクトーなど、英雄たちがかきを愛食していたという記録が残されています。